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  • 執筆者の写真akiko

アルバム[spectrum]のこと。

人の一面だけを見て「あの人はこういう人」と決めつけてしまうことは多々あります。

私も「akikoさんはスウィングの人」とか「クラブジャズの人」とか、一枚の作品だけのイメージで語られることが少なくありません。自分としてはそれぞれの作品の中に異なる私がいて、そのどれもが自分であって、そのうちのどれかひとつで私を語ることはできないのです。







ありがたいことに全ての作品を聴いてくれているフォロワーの方たちもいます。彼らは小手先のスタイルではなく、もっと深くにある何かを感じ取ってくれているようにも感じます。先日あるワークショップの際に、参加者の一人に「CDは全て聴いてきましたが、2009年からakikoさん変わりましたよね」と言われ、一瞬ドキっとしました。何と鋭い洞察力!その通り、この年から歌に対する私の意識が変わりました。


誤解を恐れず言うならば、それまでの私は自分が歌っていることに特別な意味を感じていませんでした。もちろん歌うことは楽しいし、産みの苦しみはあれど毎作品異なったスタイルを提案していくことにアーティストとしてのやりがいも感じていましたが、そこに何か意味を込める、というほどのものではなかったのです。


2009年という年は、私にとって大きな意識の変化の年でした。一言で言うと「見えない世界の存在」を初めて肯定できるようになり、この現実世界とリンクさせることができるようになったのです。




この年に出した『Words』というアルバムには、そんな内面世界が少しだけ投影されています。 自分の中だけに秘めていた子どもの頃の不思議な感覚を、初めて形にしてみようと思ったのがこの作品です。その後もたくさんの作品を作り続けてきましたが、もちろん毎度スピリチュアルな内容であるはずもなく、しかし確実に、どんな歌を歌うにしてもそこに込めるエネルギーが変わってきたのは事実です。




今年ピアニストの林正樹さんと作った『spectrum』というアルバムは、『Words』以来の内省的な作品になりました。初めからそれを意図していたわけではなく、林さんの作る楽曲やピアノの音色に自然と導かれるように自分の内面世界が表れていったように思います。


英語で書いた歌詞の対訳をブックレットに載せようか悩んだ末に結局やめる事にしましたが、やはりそれぞれの歌詞に込めた意味や背景を伝えたい、という気持ちもあります。

対訳という形ではなく、次回からここで少しずつ、お伝えしていけたらと思います。


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