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  • 執筆者の写真akiko

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

先日、ご案内いただいて『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』を体験してきました。

今日は、そのご紹介をしたいと思います。

『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』とは、真っ暗闇のなかで視覚以外の感覚を使ってさまざまな体験を味わうソーシャルエンターテイメント。

1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれ、これまで世界41カ国以上で開催されてきたそうです。

日本でも1999年の初開催以降、これまで22万人以上が体験しています。



私たちが経験するのは、完全に光を閉ざした“純度100%の暗闇”。

私は今回初めて体験してきたのですが、初めて感じたことがたくさんありました。

まず、初めて会う者同士がチームとなるのですが、自己紹介もそこそこに暗闇の中に入るので、個人を認識するのはそれぞれの「声」でしかありません。

日本人特有のシャイな気質なのか、明るいところでは恥ずかしがってあまり喋らない参加者たちも

どんなに目を凝らしても何も見えてこない暗闇の中では、声を使ってお互いの存在を認識するしかないのです。



「○○○(自分の名前)はここにいます」

「○○○(自分の名前)は△△△(何かのモノ)を見つけました」



そのシンプルなやりとりの中に、そのうちその人の人格さえ感じられるようになってきます。

さらに、暗闇に入ったばかりの時はどこになにがあるのか全く掴めず不安だったのですが、

不思議なことに、なんとなくそれぞれの距離感やフォーメーションや空間の作りが分かるようになってくるのです。

また、見知らぬその、あったばかりの参加者たちと手を繋いだり、背中を合わせて体の温もりを感じるだけで、

こんなにも安心感が生まれるものなのか、とも思いました。

「繋がっている」という感覚が、私たちにとってどれだけ大切か、身にしみて感じました。




このプログラムはもちろん家族や友人など、知っている人たち同士でも参加することができますが、

私個人の感想としては、一人で参加することをお勧めします。

知っている人が一人でもいると、その人に頼ってしまう、というか。。。

知らない者同士のチームの方が、それぞれの対話や繋がりを実感できるとてもいいきっかけになると思うからです。



そして私たち参加者をアテンドしてくれるのは、普段から目を使わない視覚障害者の方達。

彼らは暗闇の中でもまるで見えているかのように、いろいろな状況を確実に把握しながら私たちを案内してくれるのです。

普段私たちは視覚を使って、いろいろな物事を「見ている」と感じているけれど、

実際には何を「見て」いるのだろう?改めて「見る」とはなんだろう、ということを考えさせられます。

実は私を案内してくれたアテンド役の石井健介くんは、私の古くからの友人なのです。

だいぶ後になってから聞いた話ですが、彼は元々私のファンで、私に会いたいという想いがきっかけで当時私が仲良くしていたあるアパレルブランドに就職したのだとか。

そして彼の思惑通りにそこで私たちは出会い、彼がファッションの世界を離れてからもフェイスブックなどのソーシャルメディアで繋がっていました。



ある日、彼が突然視力を失った、という衝撃的なニュースをSNSで知りました。

今まで見えていたものが、ある日突然見えなくなるなんて、、、

その事実を知った私自身もショックだったし、その時の彼の気持ちを考えるととてもかける言葉が見つかりませんでした。



けれど彼はその後も、いろいろな機能を使ってSNSで自分の状況を発信し続けてくれました。

視力を失った、という現実を受け止めて、逆に今の自分にしか感じられないこと、できないことを伝えようとしてくれていて、

そんな姿にこちらが励まされることもしばしば。

もともとヨガや瞑想を日常的に取り入れていた彼だけあって、思わずハッとするような気付きもたくさん与えてくれます。

少しずつでも彼の視力が回復して、また見えるようになる日が来ることをもちろん私も祈っていますが、

彼が「目」で見えない大切な何かを見つけて、それを私たちにシェアをしてくれることは素晴らしく意義があることで、そんな彼に心からの感謝の気持ちを伝えたいです。


目以外のなにかでものを見ること。



『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』

是非、体験してみてください。

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